なぜ企業は短命なのか?5期経営の落とし穴

企業の平均寿命は意外と短い

経営者やビジネスパーソンにとって、「企業は一度設立すれば長く続くもの」というイメージを持つ人も少なくありません。しかし、実際には企業の寿命は想像以上に短いのが現実です。中小企業庁の調査によると、日本の中小企業の平均寿命は約25年。また、設立から10年で約6割の企業が倒産または廃業しているというデータもあります。さらに、大企業であっても、20年後には半数以上が姿を消しているという調査結果もあります。

東京商工リサーチの調査によると、2022年に倒産した企業の平均寿命は23.3年で、前年の23.8年から0.5年短くなっています。TSRネットまた、業種別に見ると、製造業の平均寿命が最も長く35.7年、金融・保険業が最も短く12.5年となっています。

さらに、帝国データバンクの資料によれば、企業全体の10年生存率は約70%とされていますが、中小企業に限定すると10年生存率は約26%と報告されています。THE OWNER

なぜ、企業は長く存続することができないのでしょうか?

その理由の一つに、「短期的な利益を追求するあまり、持続的な成長を見据えた戦略を立てていない」という点が挙げられます。これは、経営者が短期的な目標にとらわれすぎ、長期的な視点を持てないことが大きな要因となっています。

戦略MGは通常5期で終わるが、実際の経営はそんなに短くない

戦略MG(マネジメントゲーム)は、経営の意思決定を体験しながら学べるシミュレーションゲームです。一般的な戦略MGは全員同じ条件でスタートし、5期で終了することが多く、プレイヤーは限られた期間内で最大の利益を追求する戦略を考えます。

しかし、実際の企業経営は5年や10年で終わるものではありません。企業を存続させるためには、短期的な利益だけでなく、長期的な成長戦略を考える必要があります。5期の戦略MGでは、次のような意思決定が中心になります。

  • どの市場に参入するか
  • 価格設定の最適化
  • 商品の生産量調整
  • 設備投資の判断
  • 短期間での利益最大化

短期間での利益を最大化することにフォーカスすると、例えば「値下げ競争に勝つために価格を下げ続ける」「過剰なコスト削減を行う」などの戦略が有効に見えるかもしれません。しかし、これは長期的には企業の成長を妨げる原因にもなります。

短期利益に走ると、長期的に成長できなくなる理由

短期的な利益を追求することは、一見すると正しい経営判断のように思えます。しかし、長期的に見ると、以下のような問題が発生することがあります。

1. 価格競争に巻き込まれる

短期的に利益を上げるために、競争相手より安く商品を提供しようとする企業は少なくありません。しかし、価格競争は薄利多売の悪循環を生み、利益率が低下してしまいます。特に、競争相手も同じ戦略を取る場合、値下げ合戦がエスカレートし、最終的には市場全体が疲弊してしまうことになります。

2. 設備投資を怠る

短期的な利益を重視する企業は、設備投資を後回しにすることが多くなります。しかし、設備投資を怠ると、生産性の向上が遅れ、競争力を失う原因となります。例えば、製造業では最新の生産設備を導入することで効率が大幅に向上し、長期的なコスト削減につながりますが、短期的な視点では「今の利益を減らす要因」として見なされることが多いのです。

3. 市場の変化に対応できない

短期的な利益を優先する経営では、市場環境の変化への対応が遅れることがあります。例えば、デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れが加速する中、短期的なコスト削減ばかり考えていると、新しい技術への投資を怠り、市場競争で取り残されるリスクが高まります。

50期まで継続する経営ゲームなら、どんな学びが得られる?

通常の戦略MGは5期で終了するため、短期的な意思決定が中心になります。しかし、50期まで継続する経営ゲームをプレイすることで、次のような学びを得ることができます。

1. 長期的な視点を持った経営戦略の重要性を理解できる

50期という長期スパンの経営をシミュレーションすることで、単なる短期利益ではなく、持続可能な成長を目指す戦略を学ぶことができます。

2. 倒産を防ぐための資金管理が身につく

短期MGでは倒産のリスクが低いため、大胆な投資や価格競争をしてしまいがちです。しかし、50期を生き抜くためには、資金繰りや借入の管理、設備投資のタイミングを慎重に考える必要があります。

3. 経営の修正力を鍛えられる

長期経営では、市場環境の変化に適応しなければ生き残れません。競争環境の変化、技術革新、景気の波に対応しながら経営戦略を調整するスキルが養われます。

4. 企業の成長プロセスを実感できる

長期的な経営では、「小さな利益を積み重ねる」「ブランド価値を築く」「人材育成に投資する」ことが最終的な競争優位につながることを体感できます。

まとめ:長期視点を持つことで、企業は生き残れる

企業の平均寿命は決して長くありません。しかし、長期視点を持ち、戦略的に経営を行うことで、企業は生き残る可能性を高めることができます。通常の5期MGでは見えなかった経営の本質を、50期までの継続経営シミュレーションを通じて学んでみませんか?

次回は、「50期の経営シミュレーションで何が変わる?」をテーマにお届けします!